冷媒基礎知識

冷媒とは?

エアコン,冷蔵庫,ヒートポンプ給湯機器内部でエネルギーを輸送するために循環している流体です.人間でいえば,血液にあたる非常に重要な物質です.

冷媒としては,主としてフルオロカーボン(炭素とフッ素の化合物)が用いられ,一般的にフロンと言います。フロンは1920年代に冷蔵庫用として開発され,当時は,夢の化学物質ともてはやされました.フロンの中でもCFC(クロロフルオロカーボン)とHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)がオゾン層破壊物質です。これらの物質を特定フロンと呼んでいます.HFC(ハイドロフルオロカーボン)は,塩素をもたないため,オゾン層を破壊しないため,特定フロンの代替物質としてその変換が進んできました.このため,HFCのことを一般に「代替フロン」といいます.しかし、代替フロンは二酸化炭素の数百倍~数万倍の温室効果があることがわかり,地球温暖化の原因になるとして問題となっています.このため,さらなる代替が求められ,以降で述べるキガリ改正によりその削減すら求められるようになっています.

冷媒番号のつけ方

冷媒番号は,アメリカ冷凍空調学会(ASHRAE)のStandard 34で定められた冷媒の種類を表す番号である(ISO817も同様の基準を採用).

R 千の位 百の位 十の位 一の位 付加記号
・千の位 炭素の2重結合の数。環状化合物の場合は大文字のC
・百の位 0~3 炭素数4までのフロン類と炭素数3までの炭化水素(R50, R134a, R170,R290,C318)
百の位:炭素数-1
十の位:水素原子の数+1
一の位:フッ素原子の数
4 非共沸混合冷媒(R410A, R452B, R454B)
加記号:組成での認定番号(大文字のアルファベット)
5 共沸混合冷媒(R514A)
十、一の位:冷媒の組み合わせでの認定番号
加記号:組成での認定番号(大文字のアルファベット)
6 その他の有機化合物(R600a)
十、一の位:炭素数-4
付加記号:異性体記号(小文字のアルファベット)
7 その他の無機化合物(R717, R729, R744)
十、一の位:分子量
付加記号:異性体記号(小文字のアルファベット)
※ただし,分子量が100より大きい場合には,7は千の位とする

例:
R290(プロパン,C3H8):炭素数2+1=3, 水素数9-1=8, フッ素数0
R717(アンモニア):分子量17

冷媒の種類

下表には,冷媒として代表的なCFC,HCFC,HFC系のフロンが示されています.この系列のフロンにも様々な種類があり,それぞれの冷媒には冷媒番号が付記されています.この表を見ていただくと,CFC,HCFCからHFCになり,オゾン層破壊係数(ODP)は,0となりましたが,地球温暖化係数(GWP:CO2を1とした時の相対値)は相変わらず大きな数字であることが分かります.

※フィガロ技研株式会社ホームページから引用

このため,更なる冷媒転換が求められ,現在では,HFO(ハイドロフルオロオレフィン)や改めて自然冷媒に注目が集まっています.これらの冷媒の多くは微燃性を有するため,その対策が急務となっています.冷媒には,一長一短があるのが現状です.

※空調用冷媒の動向 NTTf総研 内海

機器の動作原理

エアコン,冷蔵庫,ヒートポンプ給湯機はすべて同じ動作原理で駆動されます.図1には,一例としてエアコンが冷房を行っている状態を示しています.まずは,この運転状態をもとに動作原理を説明します.熱交換器としての蒸発器と凝縮器,外部の動力によって駆動する回転機械としての圧縮機,膨張弁を基本的な構成要素としています.室内機には,蒸発器が内蔵され,室外機には,凝縮器,圧縮機,膨張弁が内蔵されています.これらの構成要素は,配管で接続され冷媒が流動しヒートポンプサイクル(冷凍サイクルとも言います)を形成しています.冷媒は,大気圧よりも高い圧力状態でも5℃程度で蒸発したり,30℃ぐらいでも液化したいすることができるものとなります.

 低温低圧の冷媒蒸気①は,圧縮機に流入し,ここで加圧されることにより,高温高圧となります.この圧縮機を駆動するのに必要な電力がエアコンの駆動源となります.

圧縮機を流出した高温高圧の冷媒②は,凝縮器に流入します.凝縮器では,高温側流体(ここでは外気)が冷媒より温度が低いため,冷媒から高温側流体に熱が伝わり,冷媒は冷やされ,冷媒ガスは,凝縮(液化)します.高温側流体は,熱を得て加熱されています.

凝縮器を流出した高温高圧の凝縮液③は,膨張弁を通過します.膨張弁は,小さな穴であり,ここを通過すると冷媒は,低温低圧となります.これは,ちょうどスプレーにおいて流体が高圧の内缶から圧力が低い外部に放出されるときに冷やされるのと同様の原理です.

この低温低圧の冷媒は④は,蒸発器に流入します.蒸発器では,この低温低圧の冷媒がその温度よりも高い低温側流体(ここでは,室内空気)と熱交換を行うことにより,低温側流体から冷媒に熱が移動します.

これにより,冷媒は熱を得るため,加熱され,蒸発し,その潜熱により低温側流体を冷却することになります.これを繰り返すことでサイクルが成立しています.暖房時には,内部の流動方向を切り替えることにより,室外機の熱交換器が蒸発器,室内機に設置された熱交換器が凝縮器の役割を果たすこととなります.これにより,室内機で熱をもらった高温の空気が室内を循環することとなります.ヒートポンプ給湯機では,水が熱をもらって温水が取り出されることとなります.

www.athome.tsuruga.fukui.jp

地球温暖化問題

地球温暖化が深刻な問題となっています.二酸化炭素をはじめとした温暖化物質によって地球の温度が確実に上昇しています.1906年から2005年の100年間で0.74℃上昇しています.これにより,北極や南極の氷が解け,海面が上昇します.海抜が世界で最も低い国の一つであるツバルでは,国家消滅の危機にすら直面しているといわれています.

様々な自然災害がもたらされています.洪水や旱魃,酷暑やハリケーンなどです.もちろんもともとあったことではありますが,その規模が大型化し多くの人命も奪われています.

このような地球温暖化を防止すべく世界では,2050年までに地球の温度上昇を2℃以下に抑えるためには,地球温暖化物質の排出量を現在から50%削減することが必要だとされています.

地球温暖化物質の代表格は二酸化炭素です.しかし,フロン類は,その数千倍もの地球温暖化効果(GWP)があるとされています.このため,その削減を急いでいるわけです.2036年までにはフロンの中でも現在主として使われているHFC系を先進国で85%も削減をしなければなりません.

これが,この冷媒情報発信サイト「W-Refrigerant.com」を立ち上げ,皆さんにその正確な情報をお伝えすることに至った背景となります.

アサヒ飲料ホームページより

オゾン層破壊問題

オゾン層は,大気圏の上層にある,オゾン(O3)の密度が高い層のことです.太陽光線に含まれる有害な紫外線を吸収して,地球の生命を守る役割を果たしています.

1970年代から80年代にかけて,南極上空のオゾン層が破壊され,穴(オゾンホール)ができていることが発見されました.破壊が進むと,強い紫外線がオゾン層に吸収されずに地表に届くため,皮膚がんの原因になったり,生態系にも悪影響を及ぼしたりするとされています.

ではなぜオゾン層は破壊されてしまったのでしょう?実はその原因が,当時エアコンや冷蔵庫の冷媒,スプレーの噴射剤,プリント基板の洗浄剤など,多くの用途で利用されていた冷媒のひとつの種類であるCFC系冷媒であると指摘されたのです.オゾン層破壊は,CFC系冷媒に含まれている塩素がオゾンを分解してしまうことが原因だったのです.

もともと冷媒が大きな社会問題となったのは,このオゾン層破壊が原因だったのです.その後CFC系冷媒は代替冷媒としてのHFC系冷媒に置き換えられてきました.

しかし,そのHFC系冷媒は地球温暖化物質であることが分かり,二酸化炭素の数千倍もの温室効果があることが分かりました.ですから,現在は,冷媒の問題は地球温暖化問題となっているわけです.

兵庫県フロン回収・処理 推進協議会ホームページより