冷凍空調用の冷媒の開発の歴史

当初の冷媒は当時の技術で気化、液化しやすく、大きな蒸発潜熱を持つ物質として エチルエーテル、エチルアミン、メチルアミン、に始まりジクロルエチレン、エタン、ブタン、プロパン、トリクロロエチレン、アンモニア、亜硫酸ガス、水等、あらゆる物質が提案検討された。
しかしこれらは
・毒性がある(エチルエーテル、アミン類、トリクロロエチレン、アンモニア)
・低圧が大気圧以下になる(エチルエーテル)
・強可燃性である(プロパン、ブタン、アンモニア)
 等の理由で淘汰されていった。

さまざまな冷媒の中で20世紀初頭までに生き残った冷媒は、アンモニア、CO2、メチルクロライド、エチルクロライドなどである。
しかしこれらの物質も毒性、可燃性、性能、経済性などの理由で課題が残り、新しい冷媒の開発が期待されていた。
これらを払拭した夢の物資が1930年に登場した。
これがフロン冷媒である。
フロンは化学的、熱的に極めて安定で、且つ不燃性で冷媒として優れた性能を有していたため、開発当時は「20世紀の夢の化学物質」としてもてはやされた。

フロンの誕生

1920年代、米国の冷蔵庫メーカーフリッジデール社の親会社であったゼネラルモーターズ社 (GM) は、傘下のゼネラル・モーターズ・リサーチ・コーポレーションのチャールズ・ケタリングやトマス・ミジリーらに、アンモニアの代替となる化学物質の研究を命じた。
1928年、GM はフロン12の開発に成功し特許を取得、1930年から GM はデュポンと共同でキネティック・ケミカル・カンパニー (Kinetic Chemical Company) を設立し、「フレオン」という商標でR11,R12の生産を開始した。
日本では1938年、米海軍機関誌を見た太田海軍少尉の進言により現ダイキンで自主開発し大型潜水艦イ171号(1400t)に搭載したという記録がある。

フロンとは

炭素と水素の他、フッ素や塩素などのハロゲンを含む物質の総称で、フロンという呼び方は、日本でつけられた俗称である。
一般にはデュポン社の商品名であり、商標のフレオン (freon) で呼ばれることが多い。
フロンは化学的、熱的に極めて安定で、且つ不燃性で冷媒として優れた性能を有していたため、開発当時は「20世紀の夢の化学物質」としてもてはやされた。

フッ素の科学的特徴