地球温暖化のメカニズム

我々が住む地球の平均気温は15℃ですが、これは地球に大気があり温室効果があるためです。もし大気が無く温室効果が無いとすると地球の温度はマイナス18℃となり生物が住める環境ではありません。
金星は分厚い大気に覆われているので460℃の高温になっていますが、もし金星に大気が無いとすると図の様にマイナス50℃になってしまいます。

日本冷凍空調工業会の講演資料から

宇宙に浮かぶ地球(黒体球)の平衡温度については次の様に計算することができます。

地球が太陽から受けるエネルギーは  S×πr・・・(1式)
地球が宇宙に放出するエネルギーは  σ×4πr2 ×Te4  ・・・(2式)
ここで S :  太陽定数  S=1.366Kw/m2
σ :   ステファン・ボルツマン定数  σ=5.67×10-8Wm-2K-4
Te :  地球の表面温度
r : 地球の半径
とすると

太陽から受け取るエネルギーと宇宙に放射するエネルギーが平衡するので
反射を考えなければ (1式)と(2式)は等しくなり
S×πr =σ×4πr2 ×Te4 と表せます
これを計算すると  Te= S×πr / σ×4πr2 = S / σ×4 となり
Te=278K(5℃)ということになります

太陽系の他の惑星と比べると地球がいかに恵まれているかが分かります
次の表は太陽系の惑星の平衡温度を計算したものです

天文単位とは地球と太陽の平均距離で1AU=1.496×1011 m
                          国立天文台 理科年表から

しかし実際は太陽のエネルギーは雪や雲、海などで一部は反射されます。
月が明るいのは太陽光が表面で反射されているからです。
これをアルベト係数と言い、場所によって反射係数は異なりますが、平均すると約30%が反射しているのです。
S×(1-A)πr =σ×4πr2 ×Te4   Aはアルベド係数で平均で0.3(30%)
これを計算すると地球の温度はTe=255K(-18℃)となります

月が明るいのは太陽光が表面で反射されているからです。

これをアルベト係数と言い、場所によって反射係数は異なりますが、平均すると約30%が反射しているのです。

これを考慮して計算すると

S×(1-A)πr =σ×4πr2 ×Te4   Aはアルベド係数で平均で0.3(30%)

これを計算すると地球の温度はTe=255K(-18℃)となります
(参考 金星はこれを考慮すると-50℃となる)

しかし実際の地球の平均気温は15℃ですがこれはなぜなのでしょうか。
地球には大気があり、この影響ですべてのエネルギーを宇宙には放射していないで地表に向けある比率で再放射しているからなのです。

下記の式のBはこの宇宙に放出する比率で61%と仮定し、これらの2つの条件を考慮すると

平衡式は S×(1-A)πr =B×σ×4πr2 ×Te4 となり
これを計算するとTe=288K(15℃)となります。
これは現在の地球の平均気温で、生物の環境としては理想的な値です。

参考 (金星はこれらを考慮すると460℃となる)
( 注)資料によっては地球表面温度については、有効数字の取り方で
   それぞれ -19℃、14℃としているものもあります

この熱平衡を図式化すると下記のようになります
地球は大気の温暖化影響のおかげで生物の生存に適した環境になっているのですが
もし大気が無ければ地球の温度は-18℃となり生物が住める環境では無くなります。

下記の図は地球全体のエネルギー収支を表したものです

大気反射の温暖化影響

大気の Co2 やメタンが増加しこの放射比率が減少すると地球の温度は上昇します。
左のグラフは地球への再放射率と平均気温の関係で、放射率がわずか1%変化しただけで
平均気温が2℃上昇すると大規模な環境変化が現われることがある

また地球からの反射には氷河が寄与していますが、温暖化の影響で氷河が減少すると大気反射が弱まり温暖化が加速すると言われています。