産業冷凍用二酸化炭素(その1)

二酸化炭素 (CO2) は古くからの冷媒であり、アレクサンダー トゥィニングが1850に英国で最初に特許を取得し、それ以降空調や海洋用途に用いられた。1930年頃から始まったCFC、HCFC、及び HFC合成冷媒の開発によりCO2の需要は減少し、1960年までにはほとんど姿を消した。それから20年ほどの間に、CFC とHCFC冷媒が地球上の大気中のオゾン層を枯渇させ、その消滅の原因となる可能性が高いということを実験的に究明された。

これらの結果を受けて、多くの国では、これらの CFC及びHCFC冷媒の生産を適切な時間枠内で停止することに合意し、オゾン層の回復を可能にした。この協定はモントリオール議定書と呼ばれ、その第2回及び第4回改正においてCFC及びHCFCが主題となった。この時、ローレンツェンは CO2をCFC及びHCFC冷媒の代替冷媒として提案した。

CO2を再び用いるようになった後、カーエアコンとヒートポンプ給湯機が最初の製品用途として登場した。CO2熱媒体やカスケード式冷凍システムにおける低温冷媒として、また、単一冷媒としても、その他の製品用途がすぐに現れた。北アメリカの150以上のスーパーマーケットで遷移臨界、その他の CO2システムが稼働している。また、70以上のアンモニア-CO2 工業用亜臨界カスケードシステムが稼働しており、計画中のものも多くある。

遷移臨界冷凍サイクルは 、冷媒が「超臨界流体」と呼ばれ、高密度ガスとして動作する、冷媒の臨界点を超える条件でのCO2ガス冷却(排熱のための凝縮ではなく)を引き起こす。これに対して、亜臨界冷凍システムは、相変化や凝縮が起きる臨界点以下の条件で稼働する。この記事の焦点は、冷媒としてCO2が使用される工業用冷凍である。

CO2は、地球の大気中に約 404 ppm (v/v) の濃度で存在している天然の物質である。自然冷媒として分類される他の物質は、アンモニア、水、空気、および炭化水素であり、そのすべてが天然に存在する。

出典: eJARN