シミュレータ開発とその活用

構築した数理モデルを導入し、混合冷媒を含む多様な次世代低GWP冷媒を用いた機器の性能解析を可能とします。また、工業界や学術界でシミュレーションを専門としない技術者や研究者の利用も考慮し、ユーザーが数値計算を意識することなく、グラフィックユーザーインターフェース(GUI)を活用しながら、容易にこのような解析が可能な解析環境を構築します。

熱交換器シミュレータ

次世代冷媒の性能を比較する熱交換器シミュレーターを開発することを計画しています。このシミュレーターは、GUIを使用して熱交換器の接続条件を指定することで熱交換器全体のシミュレーションを容易に行えるようになります。また、非共沸混合冷媒(例えば、R454C)では、冷媒の経路が熱交換器性能に大きな影響を与えるため、熱交換器のパスについては今後も十分な検討が必要です。

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熱交換器シミュレータのGUI画面

システムシミュレータ

Energy flow+Mは早稲田大学のグループが開発した汎用エネルギーシステム解析シミュレーターです。これまで、日本冷凍空調工業会における標準コードとして活用されてきました。しかし、このシミュレーターを使用している日本冷凍空調工業会内では、 GUIや計算手法に対して多くの修正点が提出されています。このような問題を解決するために、新しい汎用エネルギーシステム解析シミュレーターの開発が検討されています。新しいシミュレーターは、例えば、熱交換器部の GUIをより簡潔にしたり、 VRFシステムのような複雑なシステムでも高速かつ収束する計算が可能になるようにするなどの工夫がされることが期待されます。また、新しいシミュレーターは、より構造化されたコードを採用することで、モジュールの追加や変更が容易になり、研究者や学生がより容易に新しい解析ができるようになると考えられます。

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EFMII GUIの計算プロセス

LCCPシミュレータ

2020年度には、機器の性能マップを作成するためのシミュレーターの計算エンジン部を中心とした概形を製作する予定です。2021年度には、GUIを構築し、いくつかの代表的な低GWP冷媒を用いた機器の年間性能やLCCPを計算する予定です。2022年度には、工業会や学会に試行版を公開し、意見を集約して改良する予定です。また、システムシミュレーターとの連携を実現し、機器の実運転性能を計算する予定です。

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LCCPシミュレータの計算結果表示画面