日本の冷媒政策

フロンとは? 

いわゆる「フロン」は、20世紀の人類が発明した自然界には存在しない人工物質です.

1928年にゼネラルモータースにより,冷蔵庫などの冷媒に理想的な気体として開発されました。不燃性で,化学的に安定していて、液化しやすいというフロンは,冷媒としてまことに理想的なガスだったのです.

さらに、油を溶かし、蒸発しやすく、人体に毒性がないという性質をもつフロンは、断熱材やクッションの発泡剤、半導体や精密部品の洗浄剤、スプレーの噴射剤(エアゾール)など様々な用途に活用され、特に1960年代以降、先進国を中心に爆発的に消費されるようになりました。

フロンの種類

フルオロカーボン(炭素とフッ素の化合物)のことを一般的にフロンと言います。そのうち,CFC(クロロフルオロカーボン)とHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)がオゾン層破壊物質です。これらの物質を特定フロンと呼んでいます.HFC(ハイドロフルオロカーボン)は,塩素をもたず,オゾン層を破壊しないため,特定フロンの代替物質としてその変換が進んできました.このため,HFCのことを一般に「代替フロン」といいます.しかし、代替フロンは二酸化炭素の数百倍~数万倍の温室効果があることがわかり,地球温暖化の原因になるとして問題となっています.このため,さらなる代替が求められ,以降で述べるキガリ改正によりその削減すら求められるようになっています.

※経済産業省ホームページより引用

HFC,HCFCは全廃へ

全廃は政府間国際協定(モントリオール議定書:1987年)およびオゾン層保護法(1988年制定)に基づくもので、すでにCFC(R12、R502など)の生産は1996年に全廃されています。HCFC生産・消費量については、 通商産業省化学品審議会オゾン層保護対策部会中間報告(平成8年3月14日)において2020年までに原則全廃を目標とすることとされています. ただし,モントリオール議定書では、2020年時点で現存する冷凍空調機器への補充用途のHCFCに限り2029年末まで生産を認める特例が存在します。

※フロン排出抑制法の概要 2015年1月 環境省・経済産業省pptより引用

HFCも削減へ

キガリ改正では,モントリオール議定書の規制対象物質にHFC を追加し、現行議定書下でオゾン層破壊物質に対して行われる規制と基本的に同様の規制をHFC にも適用することになりました.具体的には、HFC の生産量・消費量(生産量+輸入量-輸出量)の段階的な削減、HFC の輸出入に関するライセンス制度の創設、HFC の生産量等に関する資料の提出、製造設備から排出される一部HFC の破壊、などが新たに規定されることになりました.また、HFC の数量の指標としてGWP(地球温暖化係数)を採用することとされました.

キガリ改正によって、我が国を含む先進国においては、HFC の生産量と消費量について、2011 年から2013 年までの平均数量等を基準値として、2019 年から削減を開始し、2036 年までに85%分を段階的に削減していくことになりますが、その特徴としては、以下のような点があげられます.

  • 最終目標値は撤廃ではなく基準値の80~85%の削減であり、最終目標年以降も15~ 20%の使用が認められている
  • 途上国の削減スケジュールが2つのグループに分けられている
  • 途上国の基準年が合意後4年~10 年後となっている
  • 2022 年以降5年ごとに技術評価が実施され、削減スケジュールの検証が行われる

キガリ改正で新たに対象となるHFC は、次の18 種類の物質です.なお、キガリ改正で対象となった18 種以外に、今後規制が必要となる高GWP のHFCで新製品が出るということは、現時点では想定されていません.

キガリ改正の定めるHFC 消費量の削減スケジュールと、フロン排出抑制法に基づく使用見通しの量的な関係は、次の通りです.フロン排出抑制法に基づく使用見通しは、2020 年度、2025 年度とも、キガリ改正に基づくHFC 消費量の上限を下回っています.一方で、2029 年以降のさらに厳しい上限値を達成していくためには、上限値が切り下がる年の相当程度前から製造業者等・ユーザーともに準備を進め、さらなる消費量の削減努力を図っていくことが必要となってきます.