2022年12月12日 北米政策
NPO法人環境エネルギーネットワーク21主任研究員 石橋直彦
米国環境保護庁(EPA)は、新規生産の冷凍機器の多くに用いられる冷媒の使用に対してはGWP150の上限規制を、また、新規生産の住宅用及び軽工業用空調機器やその他の機器に用いられる冷媒の使用にはGWP700の上限規制を定める規則案を公表している。
規則案は冷凍空調機器に用いられるR134a、R404A及びR410Aのような冷媒を禁止し、製造や輸入される新規生産製品に対して2025年までに、また、輸出される機器に対しては2026年から、より環境に優しい代替物質に置き換えることを要求している。規則案による予想排出削減量は2050年までに最大9億3百万CO2トンであり、環境への便益は最大563万米ドルと見積もられる。
この規則は、2020年12月に施行された米国製造技術革新法(American Manufacturing and Innovation Act)注1の一つ、いわゆる「技術転換」を遂行するものである。R744 の発行者である ATMOsphere が共同署名した環境調査エージェンシー (EIA)注2からの請願書のほか、NGO法人や工業団体からの一連の請願がEPAを新たな規則の制定に動かした。この規則は2023年10月7日までにまとめられる予定である。
GWP150上限規制などの詳細に関する掲載サイトのURLは以下のとおりである。
https://r744.com/u-s-epa-proposes-california-type-gwp-caps-for-refrigeration-and-ac/
注1:米国製造技術革新法(AIM法)については当サイトの2021年2月13日付投稿を参照のこと
注2:英国で設立された国際NGO法人