冷媒と環境問題
オゾン層破壊問題
オゾン層は,大気圏の上層にある,オゾン(O3)の密度が高い層のことです.太陽光線に含まれる有害な紫外線を吸収して,地球の生命を守る役割を果たしています.
1970年代から80年代にかけて,南極上空のオゾン層が破壊され,穴(オゾンホール)ができていることが発見されました.破壊が進むと,強い紫外線がオゾン層に吸収されずに地表に届くため,皮膚がんの原因になったり,生態系にも悪影響を及ぼしたりするとされています.
ではなぜオゾン層は破壊されてしまったのでしょう?実はその原因が,当時エアコンや冷蔵庫の冷媒,スプレーの噴射剤,プリント基板の洗浄剤など,多くの用途で利用されていた冷媒のひとつの種類であるCFC系冷媒であると指摘されたのです.オゾン層破壊は,CFC系冷媒に含まれている塩素がオゾンを分解してしまうことが原因だったのです.
もともと冷媒が大きな社会問題となったのは,このオゾン層破壊が原因だったのです.その後CFC系冷媒は代替冷媒としてのHFC系冷媒に置き換えられてきました.
しかし,そのHFC系冷媒は地球温暖化物質であることが分かり,二酸化炭素の数千倍もの温室効果があることが分かりました.ですから,現在は,冷媒の問題は地球温暖化問題となっているわけです.