2023年4月23日
NPO法人環境エネルギーネットワーク21主任研究員 石橋直彦
2023年3月30日、欧州議会議員はFガス排出に関する欧州連合の法的枠組み改正についての見解を、賛成426、反対109、棄権52で採択し、フッ素化温室効果ガスの段階的削減を加速し、2050年までに達成することを決定した。
改正の狙いは欧州の気候中立の方針に寄与することである。欧州議会議員は欧州市場における2039年以降HFCの段階的削減の速やかな達成、並びに、2050年までの生産と消費の全廃を望んでおり、最新の規制を欧州連合の2050年気候中立に合わせるのが目標である。
この規則は、2020年12月に施行された米国製造技術革新法(American Manufacturing and Innovation Act)注1の一つ、いわゆる「技術転換」を遂行するものである。R744 の発行者である ATMOsphere が共同署名した環境調査エージェンシー (EIA)注2からの請願書のほか、NGO法人や工業団体からの一連の請願がEPAを新たな規則の制定に動かした。この規則は2023年10月7日までにまとめられる予定である。
欧州議会議員の基本方針の包括的な狙いは、代替物質(冷媒)の増加と違法行為への取組みである。気候に優しい解決策を組み入れることを奨励し、消費者や投資家に確実性を提供するために、欧州議会議員はFガスを用いた製品の欧州連合単独の市場への上市を管理する要件を強化することを望んでおり、また、税関当局に対し不法に輸入輸出されるFガスを押収し差し押さえることを認めることにより、これから施行される違法行為指令に従いFガスの不法な取引をより強く取り締まることも望んでいる。
4月5日、欧州理事会は、欧州各国が欧州委員会の2つの提案に関して欧州議会との交渉を始めるという議長職の権限に合意したと声明を出した。加盟国が合意した交渉の権限は、とりわけこの段階的削減スケジュールを修正するものである。ヒートポンプを例にとると、欧州理事会は、提案をREPowerEUに従って設定した目標に一致させるために、欧州委員会の提案と比較して多くの禁止令を先延ばしにすることに同意し、又、特定の分離形ヒートポンプに関する禁止令を、代替冷媒がより広く利用可能な空気対水(ATW)ヒートポンプに対する禁止令と、代替冷媒の使用が難しい空気対空気(ATA)ヒートポンプに対する禁止令に分割することを提案した。これらのバランスさせるため、HFC市場に対して割当量が追加された。さらに、理事会は、禁止案がREPowerEUで義務付けられているヒートポンプ導入目標の達成を危うくする場合、委員会が委任行為を通じて限定数の追加割り当てを解除するよう対応できるようにするための安全条項を追加した。
この声明を受けて、欧州の主要10団体と国際的パートナーから成る連合体は4月6日対応した。連合体は、APPLiA、AREA、ASERCOM、EFCTC、EHPA、EPEE、EPFA、JBCE、JRAIA及びPU Europeである。
この記事を掲載するeJARNサイトのURLは以下のとおりである。
https://www.ejarn.com/detail.php?id=77912&l_id=
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